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小説

徳川家康|懐かしい昭和の備忘録

昭和に、一大ブームを巻き起こした小説「徳川家康」をご存知でしょうか。あの山岡壮八の、全26巻にも及ぶ長篇時代物です。三河の国に戦国武将の嫡男として生まれた彼が、織田家や今川家の人質を経て、やがては大大名となり、信長、秀吉亡き後の天下人となるお話しです。私が夢中になって読んだのは平成になってからですが、懐かしく思い出されるファンの方も多いのではないでしょうか。

 

家康と言えば、「信長が道を切り開き、秀吉の統一した天下を盗んだ狸オヤジ」と断じる方がおられるかも知れません。特に太閤さん人気の根強い大阪や、維新を成し遂げた薩摩や長州など、関ケ原以降に苦渋を舐めた藩に思い入れのある皆さんが、徳川幕府や家康を褒める事はますないでしょう。

 

しかし、私の知る家康は、とても智に長けた、信義に厚い男なのでした。小説の中の彼が、家臣にこう語り掛けます。「人には三つの命がある。」と。一つ目は「宿命」です。文字通り、生まれながらに宿っている定めのことで、どこで、いつ、誰の子として生まれたか。例えば、お金持ちなのか、貧しい暮らしなのか。健常者なのか、障害者なのか。生まれたばかりであるのに生涯を決めてしまい兼ねない、自分では決して逃れることの叶わない出生にまつわる定めの事でした。

 

そして二つ目が「運命」です。いつ、誰と出会い、何を選択して行くのか。どんな偶然と必然が待ち受けているのか。ある意味では予測の出来ない、長い人生で背負うべき様々な定めのことでした。但し、これらは自分次第で避けることも、逃れることも不可能ではありません。悲惨な大事故や大災害に巻き込まれるか否かも、実はそこに至るまでの数え切れない選択の積み重ねでしかないのです。もちろん、結果は誰にも予測出来ません。それでも、誤解を覚悟で言うのなら、飛行機事故に遭いたくなければ飛行機には乗らない、と言う方法があることも確かな事実なのでした。少なくとも、そのリスクを限りなくゼロに近付ける効果はあります。運、不運と言うことも、本当はどこかのターニングポイントで別れていたのかも知りません。

 

最後の三つ目が「天命」と言う命でした。どんな風に生まれ、どんな風に生きて行くのか。宿命と運命の先にある、何のために生まれて来たのか、あるいは何を成す為に生まれて来たのか。天から授けられた“役割り”を意味している命のことでした。生まれ落ちた生命には、必ず果たすべき役割がそれぞれに決められている。誰もが大スターや有名スポーツ選手になれる訳ではなくて、誰もが歴史に名を残せる人物である筈もありません。しかし、ある人は、家族にとって掛け替えのない父であったり、又ある人は、後に大発見を成し遂げる研究者の母であったりと、地域や、企業や、仲間にとって、あなた自身も、余人を以て代えがたい重要な人物であるに違いないのです。もしかしたら、私の子孫が、未来の世界で“テロも戦争もない時代”を実現してくれるかも知れません。もしかしたら、あなたの関わった方々が、不治の病を克服するヒントを後輩たちにインスパイアしてくれるかも知れないのです。ただの一つも、この世に無駄な命などありません。生き切ってこその「三つの命」なのではないでしょうか。私は「徳川家康」からそれを学びました。

 

私にとっての彼は、断トツで戦国時代のヒーローです。これからも小出しで、家康を語って行きたいと思っています。


 

  • 2015.12.12 Saturday
  • 19:40

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