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クリスマス

クリスマスとイヴ|懐かしい昭和の備忘録

「メリークリスマス!」それなりに年齢を重ねても、いつまでも心ときめかす響きのフレーズです。でも、幼い頃の思い出はそう多くはありません。物や情報のあふれている現在と違って、選択肢の幅がごく限られていたからです。いえ、世の中全てがそうであったのかまでは分かりません。少なくとも我が家に、クリスマスツリーらしき物がなかったのは事実です。


新聞紙を何枚か重ねて細い筒状にし、片側を3分の1ほど十字に縦裂きにした経験はありませんか。ええ、そうです。裂いた部分を引っ張り出して伸ばすと、似非“クリスマスツリー”を作ることが出来ました。懐かしくもあり、笑い話でもあり、庶民の知恵が生んだ楽しい家族の思い出作りでした。


一体、いつからでしょう。イヴがクリスマスの主役になっています。私が幼い頃は、あくまでクリスマスの当日がメインで、イヴは単なる前日でしかありませんでした。もちろん、これも我が家でのお話しです。気が付けば、クリスマスそのものが“家族”から“恋人”と過ごすべき時間へと様変わりしていました。恋人同士だけでなく、恋に焦がれる若い男女にとっても、正に聖なる(盛大なる)一大イベントの日となっていたのです。バレンタインデーと並んで、愛を告白する絶好の機会にもなっていました。クリスマスだけは、特にイヴの夜だけは、本当に何かの魔法がかけられているのかも知れません。

 

あの頃のデコレーションケーキを覚えていますか。バターケーキとかバタークリームケーキとも呼ばれていたものです。

 

クリスマスの日、街には「きよしこの夜」「ジングルベル」「ホワイトクリスマス」「赤鼻のトナカイ」のメロディが流れ、足早に家路を辿るお父さんたちの手には、このデコレーションケーキが誇らし気に握られていたのです。百貨店やケーキ屋さんの前には、尚も赤と緑のデザインの施された箱がうずたかく積まれていて、声を張り上げるアルバイト店員たちの吐く息が白く変っていました。

 

まだ冷凍技術が未熟であった時代、大量生産した生地の乾燥を防ぐための、苦肉の策であったに違いありません。子供心に“皮”の部分が美味しくないと十分に認識していました。食感の悪さは極め付きだったのです。

丸い発砲スチロールの箱に入ったアイスクリ―ムケーキが登場したのは、我が家では小学生になった以降でしょうか。赤いラベルの巻かれた箱のサイズに比べれば、確かに中身のケーキは二回りも小さくなったと記憶しています。それでも断然美味でした。ゼリーで作られたサクランボを、姉と取り合ったことまで覚えています。ドライアイスを知ったのもこの時でした。生クリームをまとった本格的なクリスマスケーキの登場は、さらに数年の時を要したように記憶しています。

 

私にとってのクリスマスは、サンタさんからのプレゼントを受け取る日ではなくて、年に一度、父が甘い甘いケーキをぶら下げて帰って来てくれる日でした。夕食にはターキーはおろか、鳥の唐揚げさえもありません。昨日と変わらず、父の大好物の味噌鍋が普通に並んでいたのです。酔った父が寝た後の、母と姉の三人で頬張るケーキだけが、唯一の、クリスマスらしさを感じられる楽しいひと時でした。

 

でも、心のどこかでは今も信じているのです。サンタクロースは本当にいるのかも知れない。もしかしたら、いつの日か、あの頃に欲しかった玩具を届けに来てくれるのではないかと。

 

メリークリスマス!

 

今夜は、あなたらしい素敵なイヴの夜をお過ごし下さい。ひょっとしたら、明日の朝、目覚めたあなたは奇跡を目撃されるかも知れません。

  • 2015.12.24 Thursday
  • 11:13

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